タワーマンションの大規模修繕費は高い?
一棟で多くの世帯が暮らすタワーマンション、マンションの大規模修繕工事にかかる費用は総戸数が多ければ多いほど一世帯あたりの負担が減るといわれていますが、タワーマンションの場合はどうなのでしょうか?
国土交通省の調査結果を見てみると、確かに総戸数が多いほど一世帯あたりの修繕積立金の額が減少する傾向にあるのですが、500戸を超える大規模なマンションの場合、逆に修繕積立金の額は高くなっています。
これは、タワーマンションなどの総戸数が多い物件の場合、高層部の外壁を修理するための費用が高くなること、また、複数のエレベーターを管理する必要があることなどが理由です。
ただ、1カ月あたりの修繕積立金の額を見てみると、通常の分譲マンションと大規模なタワーマンションでも約3,000円程度の違いしか無いため、設備などの大規模修繕工事にかかる費用を考えると十分安上がりとも言えます。
修繕積立金の値上げは避けられない?
タワーマンションはまだ作られ始めてから約20年程度しか経過していない比較的新しい建造物のため、本格的な大規模修繕工事が行われた事例が少なめです。
そのため、人件費や資材費が値上がりしていることを理由にタワーマンションの修繕積立金の不足が警戒されています。
ですが、タワーマンションの大規模修繕工事では、建築当時には無かった点検技術や修繕技術がどんどん開発されており、大規模修繕にかかる費用や期間が抑えられる傾向もあるのです。
また、駐車場の維持費をどう賄うかも重要なポイントとなります。
タワーマンションのような総戸数の多いマンションでは、駐車場も戸数に見合った大規模なものになっているため、駐車場の利用者数が減ると維持費や管理費、修繕積立金に影響が出てしまいかねません。
しかし、駐車場の利用者数が減少した場合、空いた駐車スペースを住民以外に貸し出すなどの方策をとることで、維持費や管理費などをまかなうことができます。
その他にも、プールやフィットネスジムのような住民用施設を住民以外に解放するなどの方策をとることで管理費や修繕費の不足を補うことが可能です。
ただ、これらの施設を住民以外に貸した場合、住民と住民以外の利用者とのトラブルが起こる可能性もあるため、管理組合やマンションの理事会でよく協議しておくと良いでしょう。
人件費などのコストの上昇により、管理費や維持費、修繕費などの値上がりが起こるのはやむを得ませんが、駐車場などの共用部分を上手に利用することである程度費用の値上がりを抑えることができます。
タワーマンションの修繕積立金の値上げ幅はどれぐらいが相場なのか?
修繕積立金の額は所有している部屋の広さによって変わり、1平方メートル辺り約200円がタワーマンションの相場です。
70平方メートルの部屋なら毎月約14,000円、これに機械式駐車場の利用料が一台あたり約10,000円程度追加となります。
現時点での修繕積立金の支払額が相場より低い場合には、段階的に値上げを行い、修繕を行うタイミングまでに必要な費用が用意できるようにしておかなければなりません。
例えば、当初1平方メートル辺り約150円でスタートしていたなら、2年後には約170円に、さらに2年後には約200円に、その先は空室の状況などにもよりますが、不足分を埋め合わせられる価格にすると良いでしょう。
注意点として、月額の積立額を値上げする場合、急激な値上げや一時金の徴収は避けてください。
これらの費用の値上げは、住民の反発を招き、円滑な管理組合の運営が行えなくなってしまう可能性があります。
もし、管理費が高い、修繕計画の流れに不満があるという場合は、管理組合だけで考えると負担が大きくなるため、コンサルタント会社などに調査を依頼し、できるだけ管理組合の負担にならない方法を探すと良いでしょう。
また、管理会社に委託しているマンション管理についても、管理費用が高い場合や、月額の積み立て金の推移が満足いかないという場合には管理会社の見直しを行うという方法もあります。
マンションの管理会社はマンションを販売している会社の系列会社が入っていることが多いのですが、後から別の管理会社に変更することに問題はありません。
修繕計画の推移や修繕積立金の推移などをよく調査し、管理会社の対応に納得ができないなどの理由がある時には管理組合主導のもと、管理会社の見直しに着手しても良いでしょう。