マンション管理士(コンサルタント)とは?必要なの?

マンションのコンサルタント「マンション管理士」とは

マンション管理士とは、マンションを適正に運営するための知識を持つ、マンションコンサルティングの専門家です。

平成12年に『マンションの監理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)』が定められたことに伴って登場しました。

国土交通省は、マンション管理士について、

「管理組合の業務や、マンションで起きる建物の問題について、管理組合や区分所有者から相談があれば、助言や指導などの援助を行うことを業務とする人物」

と解説しています。

つまりマンション管理士とは、「管理組合の目線でアドバイスをしてくれる、マンション管理に関する専門知識を持ったコンサルタント」と言い換えることができるでしょう。

マンション管理士は国家資格

マンション管理士は国家資格ですので、「マンション管理士試験」に合格し、かつマンション管理士として登録しなければ名乗ることはできません。

試験では、

  • 法的知識(「区分所有法」「マンション標準管理規約」「建築基準法」など)
  • 管理組合の基礎知識(管理組合の組織、運営方法、業務内容など)
  • マンションの建築知識(マンションの構造、設備、大規模修繕工事の内容など)
  • 適正なマンション管理の知識(「マンションの監理の適正化の推進に関する法律」など)

などについて出題されます。

受験のための資格や制限はありませんが、試験は年に1度しか開催されず、約13,000人の受験者のうち、9%しか合格できない難関資格です。

マンションの管理組合がコンサルタントを雇うメリット

マンション管理に、マンション管理士などのコンサルタントを必ず利用しなければならないという法律はありません。

しかし、マンション管理士と顧問契約を結ぶことにより、以下のようなメリットを得られるようになります。

管理会社との契約内容を見直してくれる

マンション管理士は、管理会社側でも管理組合でもない、第三者的な存在です。そして、マンション管理士の仕事の目的は何と言っても「管理組合のサポート」です。

そのため、管理会社の業務内容や契約状況に問題があれば、マンション管理士が、管理組合に代わってマンションにとって最も良い結果に導いてくれます。

管理会社にマンション管理士がいることもある

マンション管理士は誰でも受験資格がありますので、管理会社に勤めている人物が、資格を保有していることもあります。

しかし、その人物はあくまでも「管理会社に在籍しているマンション管理士」ですので、マンション管理士のメリットである、第三者的な視点は期待できないでしょう。

そのため、管理会社の担当者が、マンション管理士の資格を持っているから、マンション管理士を別途雇う必要はないとは限りませんのでご注意ください。

大規模修繕工事を先導してくれる

大規模修繕工事を行うに当たって発生する、住民との合意形成、施工会社選びならびに交渉、費用の妥当性調査などを、マンション管理士がサポートしてくれます。

マンションの大規模修繕工事とは?定義や意味まで徹底解説!

また、1回の大規模修繕工事だけでなく、今後の修繕計画や修繕金の積立て予測などもアドバイスをもらうことができます。

マンション管理士の中には、設計事務所を経営する傍らコンサルタント業を営む人もいますので、大規模修繕工事のサポートも期待できるでしょう。

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管理規約を見直してくれる

時代の変化や居住者のニーズ、法の改正に合わせて、管理規約を適切なタイミングで見直してもらうことができます。

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理事会に参加して助言をしてくれる

マンション管理に積極的ではなかったり、マンション管理の専門知識に欠けたりする理事会にお悩みであれば、マンション管理士を理事会に参加させることで、より主体的な組織にすることができます。

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住民とのトラブルを解決してくれる

管理組合でも管理会社でもない、第三者的なマンション管理士が住民とのトラブルに対応することで、公平かつ客観的な視点で、問題解決に取り組むことができます。

良いマンション管理士の見極め方

資格を持っていないのに「マンション管理士です」と名乗るような詐欺の例は問題外ですが、資格を持っているからといって良いコンサルタントとは限らないのも事実です。

悪質なマンション管理士に仕事を任せてしまわないように、良いコンサルタントを見極めるポイントを知っておきましょう。

コンサルタントとしての実務経験を持っている

資格を持つ者しかマンション管理士と名乗ることはできませんが、言い換えると、資格さえあれば、これまで1棟もマンションのコンサルタントを経験していない人物でも、マンション管理士の仕事ができてしまいます。

実務経験を持つ人物かどうかは、契約する前に、
これまでどのようなコンサルタント経験を積んできたか(担当数、マンションの規模など)
どういったトラブルに対処したか(理事会・住民・管理会社とのトラブルなど)
などを、管理組合から積極的に質問すると良いでしょう。

管理組合と対等な立場で接してくれる

マンション管理士は、管理組合に代わって、管理会社や大規模修繕工事の施工会社と渡り合ってくれる頼もしい存在です。

そんなマンション管理士が「知識がある自分の指示に従え」と言った具合に、管理組合を自分より下の存在として見ていたり、高圧的に接したりするような人物では、とてもコンサルタントを任せることはできません。

先ほどの実務経験の例と少し重なりますが、トラブルをどのように解決したか尋ねると、そのコンサルタントの問題対応力を知ることができます。

管理組合のために、経験と知識を奮ってくれるコンサルタントと出会いましょう。