マンションの管理会社が変更される理由
マンションの管理組合にとって、管理会社は、複雑で多様なマンション管理をサポートしてくれる頼もしい存在です。
しかし、管理会社はどこに任せても安心というわけではなく、サービス内容に不満を感じた時には、契約解除も検討しなくてはなりません。
管理会社の変更や契約解除は、主に以下のような時に検討される傾向にあります。
管理会社の対応に不満
- 管理組合の目線でアドバイスをしてくれない
- 緊急時に連絡が取れないことが多い
- 複数のマンションを担当しているため、自分たちのマンション管理に集中してくれない
- 管理費を不正に使用された
- 質問をしてもその場しのぎの回答しか返ってこない
など
業務内容に疑問を感じる
- 設備の修繕を適切に実施してくれない
- 大規模修繕工事について何も計画してくれない
- マンション管理の専門知識に欠けている
など
委託費が高い
管理会社には委託費を支払わなくてはなりませんが、担当者の業務内容に満足できなければ、委託費が無駄になってしまいます。
そのため、相場以内の金額で、もっと安心して委託できる管理会社があれば、移行したいと思うのは当然のことです。
あるいは、自分たちのマンションの規模に見合わない豪華な管理プランになっていて、無駄な委託費を支払っているケースもあるため、委託費の明細は一度確認しておいた方が良いでしょう。
管理会社変更のために管理組合が取るべき手続き
管理会社を変更する時は、以下の手順で手続きを進める必要があります。
管理会社変更を理事会で話し合う
管理組合は、管理会社の変更を、理事会に議題として持ち込むことができます。
本当に今の管理会社を変更すべきかどうか、マンションの居住者全員にとって移行にメリットがあるかなど、様々な視点からその可否について理事会で話し合いましょう。
公平な議論にするためにも、居住者全員に、管理会社を変更したい理由を説明したうえで、変更の是非についてアンケートを取っておくこともおすすめします。
新しい管理会社を決める
管理業務を外部機関に委託し続ける場合は、新しい管理会社を探さなければなりません。
新しい管理会社の募集は、自分たちのマンションの管理についてまとめた仕様書を作成し、その内容を公開するなどして行われます。
複数社から応募が来た場合は、最大でも5社までに候補を絞り、候補の会社にマンションの現地調査を依頼し、実際にマンションに来てもらって、建物の状態や現在の管理会社との契約書を確認してもらいます。
現地調査の後は、管理業務についてプレゼンテーションを行ってもらい、その内容を元に、最終的に、新しい管理会社を1社に絞るという流れになります。
非常に時間のかかるステップとなりますので、できるだけ候補の会社を絞っておき、伝えておくべき事項をお互い伝え忘れることがないよう、余裕を持って現地調査やプレゼンテーションのスケジュールを組みましょう。
管理会社の変更は総会で決定する
管理会社を変更すべきとなった場合は、理事長が総会を開き、総会決議で契約解除を最終決定します。
この時、解約に当たって、新しく契約する予定の管理会社についても、総会の参加者に理事長から説明することが望ましいでしょう。
候補の管理会社の担当者にも総会に参加してもらうことによって、管理会社変更のメリットや業務内容が総会参加者に伝わりやすくなり、決議を求めやすくなります。
総会で管理会社変更が決議され、契約書を交わした後は、委託費の支払開始日や業務スタート日の具体的な打ち合わせが始まりますので、そこまでを管理会社変更のステップとしてしっかり把握しておきましょう。
管理会社の変更で失敗しないポイント
管理会社を変更したマンションや、自主管理から管理業務を管理会社に移行したマンションの管理組合からは、「管理会社の変更に失敗して、さらに状況が悪化した」という声も挙がっています。
管理会社の変更で失敗しないためには、以下の2点を押さえておきましょう。
費用の安い・高いで決めてしまう
委託費の見直しも、管理会社変更の目的のひとつとなりますが、委託費は、安くすることが必ずしも良い結果に繋がるとは限りません。
委託費が安くなった分、サービス内容が薄くなってしまい、設備の修繕が適切に進められず、どんどん建物が劣化してしまったという管理組合の例もあります。
また、委託費の数字が現状より高くなったからと言って、サービス内容が良くなるとも限りません。
委託費は、提示された金額に対し、サービス内容が釣り合っているかどうかを見極めることが重要です。特に、管理費は、一度変更してしまうと、居住者に再変更を納得してもらいにくくなります。
管理会社変更により管理費を変更したにも関わらず、適切な管理がなされなかったため、もう一度変更を依頼することにならないよう、サービス内容と委託費のバランスは入念にチェックしましょう。
担当者の人柄で決めてしまう
もし、現地調査に訪れた管理会社の営業マンが、明るく話しやすい人物でも、それだけで契約を決めてしまうのは危険です。
プレゼンテーションで魅力的な話を沢山持ちかけておいて、いざ契約書を交わして業務がスタートすると、別のマンションの管理にかかりきりで、自分たちのマンションの対応はなおざりにされたというケースもあるからです。
現地調査に訪れた営業マンの、笑顔やトーク力などに振り回されないためには、契約する前に、管理組合が、積極的に管理業務の詳細について、踏み込んだ質問をすることです。
すぐに質問に答えられなかったり、調べもせずに曖昧な回答、または嘘を付いてごまかしたりするようであれば、マンションの管理を末永く任せることはできないと判断できます。
管理組合に寄り添ってくれる管理会社を見つけよう
管理会社の変更は、管理組合や居住者への負担も大きく、一歩間違えれば、今後数年間のマンションの暮らしやすさを悪化させることにも繋がりかねません。
笑顔やトーク、委託費の金額といった一部の要素だけで判断せず、現在の管理会社と比べてどの点が優れているか、劣っているかなども、時間をかけて総合的に判断しましょう。