大規模修繕工事の瑕疵保険とは?

管理組合を守る「大規模修繕瑕疵保険」

大規模修繕工事を実施するにあたり、「大規模修繕瑕疵保険」を利用できる業者を選ぶべきか、お悩みの管理組合の方も多いかと思います。

瑕疵保険の加入は、管理会社が積極的に勧めてくれるものではありませんので、管理組合で、大規模修繕瑕疵保険の内容を把握し、加入の是非を判断しましょう。

大規模修繕瑕疵保険のしくみ

瑕疵保険とは、工事完了後に、施工した箇所の瑕疵(欠陥や不具合など)があったとき、補修のための費用として保険金が支払われるものです。

リフォームや中古物件の売買などを対象とした瑕疵保険のほか、大規模修繕工事向けの、「大規模修繕瑕疵保険」も、2009年に登場しました。

瑕疵保険の保険金は、発注者ではなく、瑕疵の補修を行う工事会社に支払われます。これにより、発注者である管理組合が補修費用を負担することなく、瑕疵部分の補修が行えるようになります。

さらに、万が一、大規模修繕工事を行った工事会社が、倒産や経営悪化などで瑕疵の補修を行えないときは、発注者である管理組合が瑕疵保険業者に保険金を直接請求し、その保険金を補修費用に充てることも可能です。

瑕疵保険は登録事業者しか取り扱いができない

瑕疵保険は、大規模修繕工事を行う工事会社が、瑕疵保険を取り扱う会社に事業者登録をしていなければ、利用することはできません。

そのため、管理組合や管理会社がどんなに瑕疵保険の加入を希望しても、瑕疵保険の事業者登録を済ませていない工事会社と契約してしまうと、瑕疵保険は利用できませんのでご注意ください。

大規模修繕瑕疵保険の対象となる瑕疵の例

大規模修繕瑕疵保険では、主に以下の工事内容に対して保険金が支払われます。

  • 防水設備(外壁のシーリング、屋上、屋根、バルコニーの床など)
  • 外壁(塗装、タイル、外壁材など)
  • 電気、ガス、水道設備など
  • 共用設備(手すり、冊子、バルコニーなど)
  • 耐震設備

保険は大規模修繕工事が完了した日から開始され、保険期間は、外壁や防水設備など、建物の耐久性に関わる箇所や設備系統は5年、手すりなどは2年となっています。

また、これらの箇所が、使用できない状態や安全性を満たさない状態などになっていなければ、瑕疵とは認められず、台風などの自然災害や、経年による劣化も保険の対象外です。

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さらに、補修費用や仮住まい費用などの合計金額が10万円以下だった場合は、免責となり、保険金は支払われませんのでご注意ください。

大規模修繕工事で瑕疵保険を利用すべき2つのメリット

瑕疵保険に加入しなくても、工事の保証は、工事会社が独自で発行してくれます。

そのことを知っていると、わざわざ瑕疵保険に加入している業者を探す必要性はないように感じてしまいますが、瑕疵保険には、工事会社独自の工事保証にはない、2つのメリットがあります。

工事会社の不測の事態もカバーできる

工事会社の工事保証は、工事会社が倒産したり工事が行えなくなったとたん、意味を持たなくなってしまいます。

もちろん、どのような経営状態であろうと、瑕疵があった箇所の補修費用を負担するのは、工事会社の義務なのですが、手も足も出ない状態になっていれば、費用を準備しようがありません。

大規模修繕工事の施工を担当した会社が、万が一このような状態になっても、瑕疵保険に加入していれば、管理組合は、別の工事会社への補修費用を、瑕疵保険事業者に請求することができるため安心です。

第三者による診断・検査が行われる

瑕疵保険の最大のメリットは、「第三者のチェックが入ること」と言っても過言ではないでしょう。

瑕疵保険を利用するためには、この、第三者による工事前の現場診断と、工事後の完了検査に合格することが必須条件となっています。

施工管理者でも工事を担当した工事会社でもない、建築士などの第三者の専門家が、施工前と施工後に、見積もり通りの工事内容になっているか、施工不良が起きていないかなどを現場で診断・検査してくれます。

公平な視点で、手抜き工事や施工ミスを見つけてもらえるという点だけでも、瑕疵保険を利用する意味は大いにあると言えるでしょう。

瑕疵保険に事業者登録している工事会社を選ぼう

先ほどもご説明した通り、瑕疵保険は、大規模修繕工事を担当する工事会社が、瑕疵保険の事業者登録を済ませていなければ、利用することができません。

大規模修繕工事の契約後に、瑕疵保険が利用できないことが発覚して後悔しないように、工事会社を決めるときは、入札条件の中に「瑕疵保険の加入」を盛り込むと良いでしょう。

大規模修繕の業者選定のコツは?

瑕疵保険に登録していない業者は避けるべき?

瑕疵保険のメリットは、万が一施工ミスが起きたとき、工事会社が補修費用を負担できなくても、保険金を補償費用に充てられる点です。

そのため、工事会社が、

  • 地域で何十年も営業を続けている
  • 資本がしっかりしている
  • 直近で別のマンションの大規模修繕工事を終えている

といった状態であれば、工事会社が瑕疵の補修を行えなくなるリスクは低いと言えるでしょう。

しかし、どんなに大手の業者でも、数年後にはどうなっているかわかりません。

また、マンションで行う補修工事は、戸建て住宅とは規模も工事内容も違うため、部分的な補修工事でも、数百万円の費用になってしまう恐れがあります。

もし、工事業者の施工ミスのために、修繕積立金を余分に取り崩すとなれば、マンションの居住者から反感を買うことは、想像に難くないでしょう。

瑕疵保険の事業者登録=優良業者の証

瑕疵保険の事業者登録を行った工事業者は、年間の保険料を支うことになり、年に1度、契約も更新しなければなりません。

言い換えれば、安定した経済力と対応力を備えていなければ、瑕疵保険の事業者登録を続けるのは難しいということでもあります。

このような理由から考えても、大規模修繕工事の工事業者選びは管理会社任せにせず、管理組合で積極的に、瑕疵保険に事業者登録している工事業者を探した方がよいと言えるでしょう。

悪質!管理会社が提出する各工事会社の相見積もり資料は注意が必要!

最近では管理会社が複数社に見積もり依頼をして、A社,B社,C社,D社というような形で横並びで見積もり金額を資料として出してくることがあります。

しかし、実際に全ての会社に見積もり依頼をしているかは不明瞭であり、一番安い見積もり金額の会社は管理会社と繋がっていることがほとんどで、その会社に誘導するための資料となっています。

誠に残念ですが、管理会社はこのように不誠実なことを平気で行うので工事会社の選定は必ず、管理組合が直接工事会社に問い合わせをし、見積もりをお願いしてください。専門家による現地調査・見積もりの提出は、ほとんどの工事会社が無料で行ってくれます。

ご自身のマンションの地域に対応している評判の良い工事会社を無料で紹介することも可能ですので、お気軽に下記お問い合わせフォームよりご相談くださいませ。

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