大規模修繕の修繕と補修の違いは?

大規模修繕工事では様々な工事が行われる

大規模修繕工事とは、約12年に1度の周期で行われる、マンション全体に及ぶ修繕・補修工事のことです。

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大規模修繕工事では、外壁、屋上、廊下、エントランス、設備系統など、マンションのあちこちで様々な工事が行われますが、劣化具合によって作業の規模は費用は変動します。

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設備の劣化状況次第では、「修繕」と「補修」という、異なるアプローチが発生しますので、管理組合で、それぞれの意味の違いを把握しておきましょう。

大規模修繕工事の「修繕」と「補修」の違い

大規模修繕工事の名前にも使われている「修繕」と、リフォームでよく耳にする「補修」は、実は異なる意味を持つ言葉です。

マンションの修繕とは

修繕とは、元の状態まで戻し、繕うことを意味する言葉です。

マンションなどの建物であれば、現在の状態から、新築時の状態まで戻すことを意味します。
大規模修繕工事においては、外壁の塗装を塗り替えて、新築時のような色艶にしたり、カビが生えて見た目も衛生上も悪い共用部の壁紙を張替えたりする工事などが、修繕に該当します。

修繕は、ただ単に使用に支障がない状態にするだけではなく、より新築時に近づけることができますので、その場しのぎの補修よりも、設備と建物の寿命を延ばせるというメリットがあります。

ただし、その分、後述の「補修」以上の手間が発生することは押さえておかなければなりません。

マンションの補修とは

補修とは、壊れたものや劣化したものを、使える状態になるまで補い、修理することを意味しています。

マンションの場合、剥がれや浮きが生じた外壁のタイルを元のように張り直したり、防水性能が低下したシーリングを打ち替えたりする工事などを、補修と考えることができます。

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補修は修繕に比べると少ない手間で済むことが多く、人件費・材料費ともに、安く抑えられる点でメリットがあります。

しかし、数年以内に同じ箇所で不具合が起きた場合は、修繕や交換工事が発生し、結果的に補修が二度手間になってしまう恐れもあるため、本当に補修で済ませるべきかは、施工会社とよく打ち合わせが必要です。

補修<修繕<リニューアル

補修よりも修繕の方が規模が大きいことは、ここまで説明した通りですが、マンションの性能を、修繕よりもさらに向上させる時に行われるのが、リニューアル工事です。

先ほどの修繕の例でご紹介した外壁塗装工事であれば、新築時と同じ塗料を使わずに、さらにグレードの高い塗料を使って、外壁の性能を新築時よりも高めたときなどが、リニューアル工事となります。

なお、リニューアルは「改修」と呼ばれることもあります。

用語の意味を間違えると危険

施工業者からの見積もりには、「修繕」や「補修」などの言葉が並び、どの工事にも大きな違いがないように感じてしまいます。

しかし、同じ意味の言葉と思ってしまうと、修繕計画に大きな変更が生じる恐れがあるため、意味の違いはしっかり押さえておきましょう。

管理会社任せの修繕計画は禁物

管理会社に、大規模修繕工事の施工会社選びや修繕計画の作成を任せてしまうと、管理組合をはじめとする、居住者の意志に沿わない工事になってしまう恐れがあります。

例えば、まだ耐用年数が残っており、補修のみで済むにも関わらず、修繕を選んでしまうと、行わなくても良い工事の分、大規模修繕工事にかかる費用が増えてしまいます。

あるいは、修繕を行うべき箇所を補修で済ませてしまい、大規模修繕工事の実施直後にも関わらず不具合が起きて、追加工事が必要になることもあるでしょう。

このように、修繕と補修の見極めを誤り、不要な工事を発生させてしまうと、大規模修繕工事を先導した管理組合や管理会社に対し、居住者は不信感を抱いてしまいかねません。

時にはリニューアルの選択も必要

また、居住者の生活スタイルに全く生かされていない不要な設備などは、リニューアルして別の価値を生み出した方が、今住んでいる居住者にも、入居を検討している人にもプラスになることがあります。

補修・修繕してしまったばっかりに、不要な設備に貴重な修繕積立金を投じてしまわないよう、居住者のアンケートやヒヤリングを大規模修繕工事に反映させることも、管理組合の大切な役目と言えるでしょう。