大規模修繕中のベランダやバルコニーに置かれた私物の扱い
マンションのベランダやバルコニーを修繕する場合、注意しなければいけないのが私物の扱いです。
まず、知っておいて欲しいのがベランダやバルコニーなどの共用部分における私物の扱いについてなのですが、基本的にすぐに撤去できるもの、移動できるものしか設置することができません。
そのため、物置のような移動が難しいもの、床面にタイルを貼るなどの原状復帰が難しいものについては規約上設置を避けた方が良いでしょう。
また、マンションのベランダやバルコニーについては、避難通路として使用することを前提として設計されていることも多く、物置などの大きな私物が設置されている場合、避難通路としての使用ができなくなってしまいます。
大規模修繕工事中についても、一時的に室内に私物を移動させられるなら問題はありませんが、物置を置きっぱなしにしていたり、タイルを貼付けていたりした場合、作業不能となってしまうため、工事を行うことができません。
もし、区分所有者がベランダやバルコニーに私物を設置しており、施工業者が工事を行えなくなった場合には、管理会社や管理組合から区分所有者に通達を行い、できる限り早急に撤去してもらう必要があります。
ベランダに設置された私物の撤去費用は誰が出す?
マンションの大規模修繕で外壁塗装およびベランダやバルコニーなどの共用部分の防水工事を行う場合、区分所有者が自分の都合で工事を断るということはできません。
マンションの大規模修繕工事で多いトラブルとして、ベランダなどに設置された私物の撤去費用を管理組合や管理会社に請求されるというものがあります。
ですが、ベランダやバルコニーへの私物の設置は共用部分の私的使用にあたるため、管理組合や管理会社に費用を請求することは不可能です。
区分所有者が管理会社に許可を取った等の申し立てを行ったとしても、法令上、避難通路は1.5m以上の幅が必要となるため、管理会社が許可を出すことはまずあり得ません。
もし、区分所有者が物置などの施工に影響が出る私物を設置しており、撤去を拒否する場合には、管理組合で撤去を行い、撤去費用を区分所有者に請求するという方法もあります。
この場合、マンションの規則で原状回復義務が定められているかどうかが重要で、原状回復義務が定められているなら問題無く請求を行うことが可能です。
また、もし物置など私物を撤去しなかったり、床面にタイルを貼り付けていたりして工事が遅延してしまった場合には、設置を行った区分所有者に工事の遅延損害金を請求することもできます。
エアコンの室外機の取り扱いはどうなる?
物置や植物、物干し台などの撤去しやすいものについては施工前にあらかじめ撤去しておく必要がありますが、撤去に専門知識が必要となるエアコンの室外機についてはどう扱えば良いのでしょうか?
エアコンの室外機については、取り外しにどうしても費用がかかってしまうため、基本的には工事の際に撤去は不要です。
ただ、工事の邪魔となるものではありますので、工事の際に配管の届く範囲で室外機を移動させて作業を行うことになります。
室外機については施工業者側でも故障しないよう注意を払って移動させていますが、場合によっては故障してしまうこともあるため、あらかじめ保障については管理組合と業者で協議しておくと良いでしょう。