マンションの屋上防水の耐用年数は?

マンションの屋上防水工事の種類

管理組合や管理会社で屋上防水工事についての協議を行う場合、まず知っておきたいのがどのような防水工事を用いることができるかです。

一般的なマンションの屋上を大規模修繕する場合に用いられる防水工事には、4種類の工法があります。

1つめはウレタン塗料を用いたウレタン防水工法です。

耐用年数は約10年で、ウレタン防水剤を塗布した上にトップコートを塗って施工する工法です。

ウレタン防水剤もトップコートも塗装工事と施工方法は同じですので、施工が楽で修繕費も比較的安く、外壁塗装工事と同時に施工することもできますが、やや耐久性に劣るのがデメリットとなります。

2つめの工法はシート防水工法です。

こちらもウレタン防水工法と同じく耐用年数は約10年、ゴム製のシートや塩化ビニル製のシートを屋上に接着剤で貼り付けて施工します。

下地部分を洗浄し、コーキングを行ってシートを貼るだけで施工できるため、屋上防水工事の中で最も施工期間が短く、費用も安く抑えられるのがメリットです。

ただ、施工が甘いと隙間から水が入ってくる可能性がありますし、劣化によって曲面部分から浸水する可能性もあるため、定期的な確認が必要となります。

3つ目の工法は、FRP防水工法です。

ガラス繊維製のシートと樹脂塗料を重ねて塗ることで軽量かつ強靱な皮膜を作る工法で、寿命は約10年となります。

軽量なので建物への負担が少なく、強靱なので重量物を乗せてもある程度耐えられる点がメリットです。

しかし、樹脂でガラス繊維マットを固めて施工するため、紫外線による劣化で表面がボロボロになると強度が低下してしまいます。

トップコートを定期的に塗布することで劣化を抑えることができるので、施工後は定期的なチェックとトップコートの塗装工事を行うと良いでしょう。

4つ目はアスファルト防水工事です。

アスファルトを染みこませたマットを加熱しながら貼り付けていく工法で、防水工事の中ではトップクラスの耐久性と耐用年数となっています。

寿命は約15年で、防水層そのものが重いため、木造住宅やアパートには使えませんが、マンション用途なら問題無く利用できるため、防水性能を長期間維持したいというマンション管理組合の方々におすすめです。

注意点として、施工中の臭いの問題があります。

アスファルト防水は道路の舗装で使われるコールタールを用いた防水工法のため、加熱によってコールタールを溶かしながら施工するのですが、どうしても加熱によって石油を燃やしたような臭いが出てしまうのです。

臭いの問題が気になる場合には、熱を使わずに貼り付けられるシート工法も開発されています。

耐用年数で見てみると、最も長いのがアスファルト防水、続いてシート防水とFRP防水、最後にウレタン防水です。

コストについてはウレタン防水が最も安価で、続いてシート防水、FRP防水、アスファルト防水となります。

マンションの大規模修繕工事で使用するならどの工法がおすすめ?

色々な防水工法がありますが、大規模修繕工事でマンションの屋上防水を修理する場合にはどの工法を選ぶと良いのでしょうか?

施工が簡単で工事期間が短く、周囲への影響を抑えられ、コストも安く済むのはウレタン防水とシート防水です。

耐久性を重視するなら強度が高いFRP防水とアスファルト防水となりますが、この2つはやや修繕費が高くなり、施工にも時間がかかります。

また、アスファルト防水は自動車が走れるほどの耐久性を持った防水工法ですが、強度が高い分重量もあるため、建物の耐震性が気になる場合には使用しにくい工法です。

ただ、ウレタン防水以外の工法は通常の塗装業者では対応していないことが多く、専門の業者を探す手間がかかることがあります。

管理会社では自社で工事会社を持っていたり、同じグループに工事会社があったりする場合も多いため、大規模修繕工事を管理会社に依頼すると、どうしても利益重視で施工費用が高くなってしまいがちです。

管理組合で施工業者を探し、相見積もりを取ることで、管理会社に任せっきりの場合に比べて施工費用を安価に抑えられ、予算の範囲内で施工を行える可能性が高くなるでしょう。

マンションの防水工事費用は?屋上や外壁の大規模修繕を検討中の方必見!

費用面以外でも、大規模修繕工事でマンションの屋上防水を行う場合には、管理組合でよく協議し、施工箇所の劣化までの期間、メンテナンスとしての塗装工事の有無、重量バランスなどを考えた上で選ぶと良いでしょう。