アパート経営における「修繕」の内容
アパート経営における修繕は、大きく分けると、
- リフォーム
- 原状回復
- ハウスクリーニング
のいずれかに該当します。
このうちどれをオーナーがすべきか、入居者がすべきかを区別しておきましょう。
アパートのリフォームとは
アパートの外壁や共用廊下、玄関ドアやポストなどが古くて使いづらいと、入居希望者は当然、契約をためらってしまうでしょう。
最新の機能が付いた設備に交換したり、汚れを落とすためにリフォームを行ったりすることで、築年数が経ったアパートも住みやすさを保ち続けることができ、新たな入居契約の獲得にも繋がります。
10年に1度、広範囲のリフォームをまとめて行うために実施されるのが、アパートにおける大規模修繕です。
アパートの原状回復とは
原状回復とは、入居者が退去するときに、入居時の状態に戻すことを指します。
人が住み続けていれば、部屋は入居時よりも損耗してしまうものですが、経年劣化や自然摩耗で生じる劣化は入居者に責任はなく、修繕費用はオーナーが負担し、敷金からは差し引かないのが一般的です。
ただし、入居者の明らかな過失によって生じた破損や、基本的な清掃・メンテナンスを怠ったために生じた劣化などは、入居者が修繕費用を負担しなければならず、退去時に修繕費用を敷金から差し引くことができます。
アパートのハウスクリーニングとは
ハウスクリーニングは原状回復と同義で考えられることもありますが、クロスの張替えや設備の交換などの工事は含まれず、拭き掃除やワックスがけなどといった清掃を主とします。
新しい入居者が、ホコリや汚れがない綺麗な状態で部屋を使い始められるように、オーナー負担でハウスクリーニングを実施しておきましょう。
アパートの修繕箇所一覧
アパートの中で修繕が必要な箇所は、主に以下のようになっています。
アパートの共用部分
- 共用廊下
- エントランスのオートロック
- 郵便ポスト
- 階段
- 手すり
- 隣地との境界(フェンスや柵、目隠しなど)
- 照明
など。
アパート共用部の修繕は、鉄部の防錆工事と防水工事がメインで行われます。錆びや防水性の低下は、建物では特に起こりやすい劣化ですので、比較的発生しやすい修繕として覚えておきましょう。
アパートの各居室
- 玄関ドア
- 室内のクロス
- 室内のフローリング
- 水回り設備
- ベランダ
- エアコン
- 給湯器
など。
このうちクロスやフローリングは、紫外線などでどうしても自然損耗してしまう箇所ですので、退去時の原状回復に備えて、張替え費用を常に確保しておく必要があります。
アパートの外装
- 外壁
- 屋上
- 屋根
- 窓サッシ
など。
アパートの見た目に最も影響する外壁や屋根は、空室率を下げないためにも、塗装や洗浄できれいな状態にしておくことが望ましいと言えます。
一般的に、外壁や屋根の耐久性は約10年で落ちると言われますので、他の設備のリフォーム費用を圧迫しないように、修繕費用を積み立てておきましょう。
建物は修繕によって美観が保たれている
経営しているアパートの空室率を減らす最も良い方法は、建物をきれいな状態で保つことに他なりません。
クロス張替えなどの原状回復やハウスクリーニングを徹底することも大切ですが、共用部のリフォームも定期的に実施することで、入居希望者にとって印象の良い建物にすることができ、契約に結び付けることができるでしょう。
また、定期的な清掃やリフォームによって、劣化が軽いうちに修繕が行われるため、建物の耐久性も落ちにくくなります。
共用部の修繕費用を居住者から徴収する分譲マンションと違って、賃貸アパートの修繕は、実施すべきどうか、またその修繕費用をどのように準備するかは、すべてオーナーの判断に委ねられています。
修繕の内容と修繕箇所を把握し、オーナーが負担すべきか、敷金から差し引くことができるかなどを判断しながら、無理のないアパートの修繕計画を立てておきましょう。