マンションの管理委託費の相場は?

マンションの管理委託費とはどのような費用か

「管理委託費」とは、マンションの管理業務を委託している管理会社に、業務の対価として支払う費用のことです。

この費用は、毎月居住者から徴収する「マンション管理費」で賄われており、同じく毎月徴収する修繕積立金とは別の費用になります。

管理委託費の明細

一口に管理委託費といっても、管理業務は内容が多岐に渡るため、委託費は細かい明細に分けて計算されています。

マンションの管理委託費は、毎月定額を支払う「定額委託業務費」と、業務量に応じて都度変動する、「定額委託業務費以外の費用」に分かれています。

国土交通省では、『マンション標準管理委託契約書』の中で、管理会社と管理組合が良好な契約を結ぶために、委託業務の内容を上記のように分けることが望ましいとしています。

定額委託業務費の例

定額委託業務費の内容は、『マンション標準管理委託契約書』によれば以下の内容になっています。

  • 事務管理業務…担当者(フロントマン)への報酬
  • 管理員業務…管理員への報酬
  • 清掃業務…定期清掃業務への報酬
  • 建物・設備管理業務…設備の管理に関する定額報酬

管理会社によって契約書の作り方は異なりますが、定額委託業務費は、おおむねこのような項目で、月々定額で請求されます。

定額委託業務費以外の例

不定期に発生する、消防設備・排水管の手入れ、植栽の手入れなどに関する業務は、定期管理委託費以外の業務として、発生するたびに請求されます。

管理会社への管理委託費の相場

管理委託費の平均額は、戸あたりに換算すると、月々約13,000~15,000円前後が相場となっています。

しかし、マンションの管理委託費は、マンションの規模や設備の数で変動しますので、上記の月額が必ずしも適正とは限りません。

マンションごとの平均的な管理費を元に、管理委託費に充当されている金額を算出してみましょう。

マンション管理費の相場

国土交通省の『平成25年マンション実態調査』によると、調査対象となったマンションの平均的な管理費は、月/戸あたり約15,000円、月/平米あたり約200円という結果になっています。

年額にすると、管理費の総収入は平均して約152万円となり、管理委託費の平均も、ほぼ同額必要になっていると考えられます。

ただし、マンション管理費の年額は、総戸数20戸以下のマンションでは平均して約32万円、500戸以上のマンションは1,082万円と大きく違い、建物の規模や設備の数などによって大きく差があります。

また、マンション管理費の戸あたり平均額は、総戸数が多いマンションになるほど安くなるというデータも出ており、マンションの規模や駐車場収入によっても管理費は大きく変動しますのでご注意ください。

管理委託費は安い・高いで判断するものではない

管理委託費が相場より高くても、管理会社から搾取されているとは限らず、マンションの現状にとっては、最も妥当な金額設定かもしれません。

反対に、管理委託費が安いからといって得をしているとは限らず、必要なサービスが不足し、適切な管理業務が行われていない恐れもあります。

管理委託費が高いときと安いとき、それぞれのメリット・デメリットを知って、費用の明細を分析する慎重さを身につけておきましょう。

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管理委託費が安い時のメリット・デメリット

居住者にしてみれば、マンション管理費の負担は少ない方が良く、管理委託費は安い方が嬉しいものです。

しかし、「あまりにも管理費が安いけれど、このマンションはちゃんと管理されているだろうか」と不安に思う居住者も少なくはありませんので、費用の妥当性は管理組合でしっかり把握しておきましょう。

安い管理委託費のメリット

管理費委託費が安ければ、居住者から徴収する月々のマンション管理費も減ります。

その結果、マンション管理費だけでなく、同じく月々徴収する、修繕積立金の滞納リスクも減らすことができるでしょう。

安い管理委託費のデメリット

管理委託費が、お住まいのマンションの戸数に対して相場よりも安い時は、通常行われるべきサービスが行われていない恐れがあります。

不定期に発生する清掃や設備点検が行われておらず、その分の専門業者への外注費用も発生していないことから安くなっているとも考えられ、気づかないうちに、マンションの劣化が蓄積しているかもしれません。

そのような状態が続くと、管理委託費や修繕積立金の値上げも検討しなくてはならない状態を招いてしまうでしょう。

管理委託費が高い時のメリット・デメリット

費用が相場よりも高いということは、何かしらの支払いが別途発生しているということでもあります。

その支払いが、妥当なものか・そうでないかを、管理組合は見極めなくてはなりません。

高い管理委託費のメリット

不定期に発生する設備点検がしっかり行われた結果、管理委託費が高くなることもあります。

特に、共用設備が多い大規模マンションや、エレベーターの利用頻度が多いマンションなどは、各設備の保守点検の規模や頻度も増えるため、自ずと管理委託費は高くなるでしょう。

高い管理委託費のデメリット

マンションが経年劣化し、あちこちで補修や清掃が発生して、管理費が高くなってしまっている可能性があります。

その他、管理会社の利益や外注業者への中間マージンが不当に高く見積もられていたり、そのマンションに必要のない業務まで追加請求されているかもしれません。

管理委託費は管理組合で時々見直そう

管理委託費が適切かどうかは、支払っている管理費が何に使われているか、管理組合が知っておくことが大切です。

直近でメンテナンスを済ませた箇所が何度も点検されていたり、必要ないサービスまで管理委託費に含まれていたりするようであれば、管理会社と、管理方針について一度話し合う必要があります。

話し合いの結果、管理会社の対応に不誠実さや不満を感じた場合は、管理会社の変更も検討しなくてはなりません。